大使からのご挨拶
皆様
2024年が始まり3ヶ月が経過しました。2月8日は首都ポドゴリツァにおいて、天皇誕生日レセプションを開催し、マンディッチ議会議長、スパイッチ首相を始めとする各界の方々にお越し頂きました。また、在留邦人の方々とお目にかかることができ、大変嬉しく思っております。
日本とモンテネグロの外交関係は、モンテネグロが独立した2006年から始まり、今年で18年になります。しかしながら、両国の元首間の最初の接触は今からちょうど140年前の1884年までさかのぼることができます。同年、明治天皇とニコラ1世の間で相互叙勲が行われたのです。天皇誕生日レセプションでは、ツェティニェの博物館のご厚意により、明治天皇が贈った勲章を展示しました。ニコラ1世が明治天皇に贈った勲章は京都にある御文庫にて大切に保管されていますが、その写真もレセプション会場で紹介しました。このような形でこの勲章の写真が公開されるのは140年の歴史で初めてのことと思います。
近年の両国関係は、2018年に故安倍総理が「西バルカン協力イニシアティブ」を発表して以来、このイニシアティブの2つの柱に基づいて進められてきました。一つはモンテネグロのEU加盟に向けた改革支援であり、もう一つは西バルカン諸国との域内協力の促進支援です。これらの目的のために、JICAはモンテネグロの中小企業への支援を継続するともに、本年中に観光分野の専門家を域内に派遣し、西バルカン諸国が観光の振興を通じて協力を強化できるよう支援していく予定です。
また、草の根・人間の安全保障無償資金協力というスキームにより、教育、社会福祉、防災及び環境保護といった様々な分野において地方自治体やNGO等を支援しています。先般も、モンテネグロ中部のコラシンにおいて救急車の引渡式を行いました。今後とも「西バルカン協力イニシアティブ」に基づきこうした協力を継続していきたいと考えています。
また、ビジネス間の交流の促進も重要です。モンテネグロでは日本企業の大同メタルが20年以上にわたり事業を継続しており、民営化の成功例として業績も好調であると伺っています。昨年の秋にはモンテネグロ政府が大同メタルの判治誠吾(はんじ せいご)社長を日本における名誉領事に指名されたことを歓迎しております。今後はより多くの日本企業がモンテネグロに進出することを期待し、モンテネグロ政府と協力しつつ、必要な支援をしていきたいと考えております。
昨年10月に就任したスパイッチ首相は日本の国費留学生として、2007年から2012年まで、日本に留学をしていました。私も同首相にお会いする機会を得ましたが、世界の指導者の中でもスパイッチ首相ほど日本事情に精通し、日本語を自由に駆使できる方は他にいないのではないでしょうか。日本とモンテネグロは基本的人権、民主主義及び法の支配といった基本的価値を共有しています。国際社会の分断が深まる中で、日本とモンテネグロはルールに基づいた自由で開かれた国際秩序を維持・強化していくために連携を強化していく必要があります。就任以来、大変精力的に活動しているスパイッチ首相及びモンテネグロ政府と協力し、この両国間のパートナーシップをより強固なものにしていきたいと思います。
在留邦人の皆様におかれましては、安全な滞在が可能となるよう、モンテネグロ政府と協力するとともに、当館による様々な領事サービスの提供を強化していきたいと思います。何かお困りのことがありましたら、当館に遠慮なくご相談いただければ幸いです。
本年もどうか宜しくお願いいたします。
駐セルビア日本国大使
今村朗