今村大使のインタビュー
7月19日、Tanjug TVにて今村大使のインタビューが放映されました~
イインタビュー動画(セルビア語)リンク: https://www.youtube.com/watch?v=w0YbjmkcsPI 当館作成インタビュー仮訳(項目番号は当館付記): 1 見出し「セルビアは地域の平和の鍵」(パブレ・クネジェビッチ記者 2 本文 (1)(問:日本の上川陽子外務大臣はベオグラードを含めた西バルカン地域を訪問したが、日本からのセルビアへのハイレベルの訪問は5年ぶりであり、二国間関係や経済関係について会談で話し合われた。上川大臣のベオグラードを含む西バルカン地域への訪問の成果はいかん。)上川大臣の訪問は日本の外務大臣のセルビア訪問としては5年ぶりであり、ベオグラードに加えてサラエボとプリシュティナも訪問する。日本の外務大臣がコソボを訪問するのは今回が初めてである。この外遊はこの地域における協力と安定の重要性の促進を目的としている。欧州が安定し、強く結束した場所であることは我々にとって非常に重要である。我々は、西バルカンは極めて重要であり、特にセルビアがこの地域の安定と平和の鍵を握っていると考えており、外遊の最初の目的地としてベオグラードを選ぶことにした。 ベオグラードで上川大臣はミロシュ・ブチェビッチ首相とマルコ・ジューリッチ外務大臣との会談において、対話を通じた地域の平和と安定の重要性を含む、多くの点で合意した。また、国際法の重要性、特にウクライナ戦争におけるバルカン諸国の立場(ママ、両国の立場の誤訳)についても意見の一致をみた。今日、主権と領土一体性、そして法の支配の重要性を強調することがこれまで以上に重要である。 また、上川大臣とジューリッチ外相が二国間投資協定に関する正式な交渉を開始することに合意した。その理由は、日本からの投資が増加しており、今では日本はセルビアへの最大投資国の10位以内に入っているからである。この状況を踏まえ、二国間でこの協定の交渉開始が決定された。これにより、セルビアにおける日本企業と日本におけるセルビア企業の投資を保護するとともに、両国の投資家によいシグナルを送り、投資を行うことに確信がもてるようになることが期待される。 最後にコソボ問題の重要性である。我々は建設的な対話を促進できることを願っている。 (2)(問:数年前、日本は「西バルカン協力イニシアティブ」を発表した。大使がすでにおっしゃったように、日本はベオグラード・プリシュティナ間の対話を支持しているが、その理由はいかん。)故安倍晋三元首相が2018年にベオグラードを訪問した際に発表した「西バルカン協力イニシアティブ」について、上川大臣は日本が同イニシアティブをさらに進展させていくことを確認した。このイニシアティブには2つの柱が含まれている。1つはセルビアを含む西バルカン諸国のEU統合の促進であり、もう1つは西バルカン諸国間の地域協力の促進である。これにはコソボも含まれており、上川大臣のセルビア訪問の重要な目的の一つでもあるが、EUが仲介するベオグラードとプリシュティナ間の対話を支援することである。今回、日本はセルビア側がブリュッセル合意とオフリド合意及びその付随文書を履行することへの期待を表明するとともに、プリシュティナに対し建設的な対話を開始するよう要請する。この合意には、コソボにおけるセルビア系自治体連合の設立も含まれている。そして、こうした外交努力を通じて、現在困難な課題に直面していると思われる対話が再開し、前進することを願っている。 (3)(問:近年、セルビアはAIを含む先進技術に多く投資している。日本は技術的に最も発展している国の一つであるが、 今後、両国間で協力が進む可能性はあるか。)先ほども申し上げたように、セルビアに対する日本の投資、特に先端技術分野での投資が増加している。特に自動車分野では、Toyo Tireが建設したスマート工場がインジャにあるが、この地域のタイヤ生産において最も先進的な工場の一つである。そして、そこで働くセルビア人にとって、ハイテクを駆使して高品質のタイヤを製造する方法を学ぶ機会となっている。両国が協力するもう一つの重要な分野はAIである。武田薬品はすでにセルビア政府とBio4キャンパスプロジェクトへの参加に関する覚書を締結している。彼らは現在、セルビアのAI分野の研究者と協力して、希少疾患の診断を可能とすることを目的としたプロジェクトの実施に取り組んでいる。これは、そのような希少疾患を抱えた子供を持つ家族にとって非常に重要であり、それらの早期診断を可能にすることを目的としている。このプロジェクトは進行中である。トミスラブ・モミロビッチ通商大臣、アドリアナ・メサロビッチ経済大臣、エレナ・ベゴビッチ科学・技術開発・イノベーション大臣の経済閣僚3名が先般日本を訪問したが、そこで日本の関係者とAIの分野について意見交換をした。「AIに関するグローバルパートナーシップ(Global Partnership on AI:GPAI)」と「ヒロシマAIプロセス」におけるセルビアと日本の協力への期待を表明し、2年前に日本がGPAIの議長を務めた際にセルビアも参加するよう呼びかけた。私たちは、年末にセルビアがGPAIの議長を務める際に、二国間だけでなく、この枠組みにおける協力を強化できることを期待している。 4)(問:過去20年、日本はセルビアにとって最も大きな経済支援の提供国の一つであったが、今後、日本はどの分野においてセルビアを支援していくか。) 日本の対セルビア支援に関して、最初の大規模な支援、もしくは大きなプロジェクトの一つが、2003年の「ヤパナッツ」と呼ばれるバスの供与であった。 20年前のことであるが、残念ながら、規則により20年以上は使用できないようで、引退することになったが、20年間大切にバスを維持してもらったことに感謝している。これが両国間の友好の象徴となったが、今後も両国は社会福祉、教育、保健、環境保護など他の分野でも協力を継続する。 例えば、私はヴォイヴォディナ州のスルボブランで、知的障害のある子供の学校に対する車椅子の子供たちが利用できる小型バスの引渡式に出席した。日本は長年にわたって支援してきており、今後も支援を継続していきたいと考えている。 (5)(問:セルビアと日本は経済協力を深めてきているが、どの分野において、二国間の経済協力のさらなる発展が期待できるか。)日本とセルビアは2050年までの脱炭素化という同じ目標を掲げており、日本はセルビアのグリーントランジションの取組、特に再生可能エネルギー分野に着目している。この目標を達成するには、再生可能エネルギー分野において多くのことを成し遂げる必要があり、多額の投資が必要になる。セルビアがJICAにビストリツァ揚水発電所への支援を要請いただいたことを非常に光栄に思う。非常に大規模なプロジェクトであり、それが完成すれば多くの電力を供給することができるだろう。JICAは現在もフィージビリティ調査中であり、最終決定をするにはまだ時間が必要である。しかし、合意がされ、このプロジェクトが完了すれば、安定的にエネルギーが供給され、太陽エネルギーや風力エネルギーなど、他の再生可能エネルギー源も大規模に導入できるようになると願っている。このような協力がエネルギー分野の中で拡大されることを願っている。 (6)(問: 来年日本で万博が開催され、また2027年にはベオグラードでも認定博が行われる。これらは両国にとってどのように重要であるか。)まず、大阪・関西万博への参加を表明したセルビア政府に感謝の意を表する。セルビアのパビリオンは現在建設中である。大阪万博には2,800万人以上の来場者が訪れるため、セルビアの魅力を紹介する場所になることを願っている。大阪万博のメインテーマは持続可能な発展で「いのち輝く未来社会のデザイン」がスローガンである。セルビアのパビリオンは、ベオグラードで2027年に行われる認定博を宣伝する絶好の機会となると承知している。大阪での経験をベオグラードでも活用してもらえるよう、私たちは知見を共有したい。日本企業は2027年の認定博への参加に非常に関心を有しており、私もそれを支持している。2027年の認定博が2025年の大阪・関西万博に続くことを望んでおり、2つの万博には強いつながりがある。