大使館案内
大使からのご挨拶
セルビアの首都ベオグラードから新年のご挨拶を申し上げます。
「スレチュナ・ノバ・ゴディナ(Happy New Year)」
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2022年は、日本とセルビアの友好140周年の慶事の年でありました。長いコロナ禍の中で損なわれた人の交流、文化の交流そして経済の交流を取り戻したいとの気持ちで、私ども日本大使館員一同はセルビア国内を駆け巡って多くの人々との協力を進めて参りました。しかし、実際感じましたのは、両国国民が長い友好の歴史の中で培ってきた友情の絆は、コロナで褪せるようなものではなく、脈々と繋がっており、この記念すべき年を大いに盛り立てようという関係者の熱意と思いやりに溢れていたということです。改めて、セルビア政府、自治州・自治体の皆様、友好団体、文化・芸術団体、そしてセルビアで活躍する日本企業の皆様のご支援・ご協力に対し厚く御礼を申し上げます。お陰さまで、全国で40以上の各種文化・音楽・スポーツイベント、教育交流に加え、経済開発プログラム、ビジネス交流も盛んに行われ、この節目となる年に、友好の輪を拡げ、皆様と共に確かな一歩を踏み出すことができました(実施した行事のリストを添付しますので、ご参照下さい。)。
周年での行事を通じて印象深かったのは、セルビアの方々の日本に対する信頼と期待が益々高まっているということです。140年の両国関係の歴史の中で、日本もセルビアも幾度かの戦禍や多くの社会的経済的困難に見舞われましたが、ことセルビアにとっての戦後(旧ユーゴスラビア紛争、コソボ紛争)はたかだか20年程度前のことです。1999年のNATO軍の空爆を経て、民主化と国の再建という困難な状況にあって、真っ先に支援の手を差し伸べてくれたのは日本だという感謝の言葉を、私自身、訪問する先々でセルビアの方々から頂きました。インフラ、医療、人材育成などの経済開発支援から楽器を失ったベオグラード・フィルハーモニーオーケストラへの楽器の贈与に至るまで、正に血の通った支援をしてくれたとの評価です。我が国が贈与したベオグラード市の公共バスは、その色から「黄色いバス」または「ヤパーナツ(日本人)」と親しみを持って呼ばれ、今なお、両国国旗を掲げて市民を運んでいます。そして、近年の日本企業の活発な投資を通じてもたらされる雇用、技術そして勤勉で生産性が高く、チームワークを重んじた日本の企業文化の浸透を通じて日本への信頼と期待が益々高まっているのです。
悲しい出来事もありました。昨年の7月8日、安倍元総理は凶弾に倒れ、命を落とされました。その日、私は地方に出張中でしたが、ブチッチ大統領並びにブルナビッチ首相より直ぐにお電話でお悔やみの言葉を頂きました。2018年1月に日本の首相として初めてのセルビア訪問を果たされた安倍総理は、我が国の西バルカン政策を明確に打ち出した「西バルカン協力イニシアティブ」を発表するなど、より実質を伴う新たな日・セルビア関係の道を拓きました。安倍元総理が亡くなられたのは、その貢献に対しブチッチ大統領がセルビア最高位のメダルを安倍元総理に授与してから間もない時でありました。安倍元総理の国葬に参列されたブルナビッチ首相は、岸田総理との会談において安倍元総理の残された政治的遺産を受け継いで両国関係の発展を進めることで一致しました。
最後になりますが、新年に当たり、友好140周年で高まった関係強化への機運をしっかりと引き継いで両国の協力を進めていく所存ですので、皆様のお力添えを頂けますようお願い申し上げます。また、国際情勢は、欧州のウクライナ危機をはじめ揺れ動いております。北朝鮮の核・ミサイル開発などアジア太平洋も楽観できる状況にはありません。2023年が、両国並びに国際社会にとって光明の見える年となりますことを祈念致します。