今村大使のインタビュー
7月19日、RTSにて今村大使のインタビューが放映されました~
インタビュー動画及びスクリプト(セルビア語)リンク:
https://www.rts.rs/lat/vesti/politika/5491297/ambasador-japana-intervju.html
当館作成インタビュー仮訳(項目番号は当館付記):
1 見出し
「日本企業による対セルビア新規投資を促進する」(テルジッチ記者)
2 本文
日本の上川外務大臣はベオグラードでブチェビッチ・セルビア首相及びジューリッチ・セルビア外務大臣と会談を行い、西バルカン地域における経済協力と安定について意見交換をした。
「両国は様々な分野で協力している。ジューリッチ外相は上川外相によるセルビア訪問を温かく歓迎してくださり、両国は「西バルカンイニシアティブ」の二つの柱に基づいて協力を続けることで一致した。それが、日本企業によるセルビアへのさらなる投資につながることを期待している」と、駐セルビア日本大使の今村朗大使がRTSの取材に対して述べる。
上川外相によるセルビア訪問の成果、日本企業によるセルビアへの投資、(21日に行われる)バスケットボール(男子の国際強化試合)などについて今村大使がRTSの取材に応じる。「日本からのさらなる投資、およびコソボ情勢についてセルビア側と協議をするという目的で日本の外務大臣が5年ぶりに西バルカン地域を訪問した。コソボ情勢については、日本はEUの仲介によるベオグラード・プリシュティナ対話を支持しており、この対話が中断しているのは思わしくない状態である。」と今村大使は述べる。
(1)(問:日本がコソボの独立を承認してからすでに16年が経つが、今回、日本の外務大臣による初めてのコソボ訪問となる。今般の上川外相によるコソボ訪問の理由と経緯についてご説明いただきたい。)
EUの仲介による対話が中断していることをはじめ、コソボ情勢が不安定であることから、上川外相は今般の訪問を機にベオグラード側ともプリシュティナ側とも意見交換をすることとなった。まず、上川外相が、ブリュッセル合意及びオフリド合意を履行することの重要性を強調したことに対し、ジューリッチ外相は積極的な姿勢を示した。これは、ジューリッチ外務大臣がブリュッセルでボレルEU上級代表と会談を行った直後であり、非常にタイミングがよかったと思う。上川外務大臣は、プリシュティナ側からも建設的なアプローチを引き出すべきく、プリシュティナを訪問し、同じメッセージを伝える予定である。
(2)(問:両国の経済協力の重要性について、6月にセルビア経済代表団が日本を公式訪問したことによって、両国における投資協定締結への期待が高まった。日本の外務大臣によるセルビアへの訪問が実現したことで、両国における投資協定締結の見通しはよくなったのか。投資協定が締結された場合、セルビアへの投資を検討している日本企業にどのような影響をあたえるのか。)
上川外相とジューリッチ外相は、両国間の投資協定の交渉を開始することで一致した。当該協定の締結は、日本によるセルビアへの投資及びセルビアによる日本への投資を保護するものとなる。これが双方にとって強いメッセージとなり、日本によるセルビアへの更なる投資が促されることを期待している。
(3)(問:2018年、セルビアを訪問中の故安倍元総理大臣が「西バルカン協力イニシアティブ」を発表して以来、セルビアのインジャ市でToyo Tireが工場を開設するなど、日本企業によるセルビアへの投資が増加している。今般の上川外務大臣の訪問に伴って、日本企業によるセルビアへの新規投資は期待できるのか。)
「西バルカン協力イニシアティブ」が発表されてすでに6年が経過したが、我々はこのイニシアティブの下でセルビアを含めた西バルカン諸国と協力を続けていきたい。「西バルカン協力イニシアティブ」は、セルビアを含めた西バルカン諸国の改革を推進することと、西バルカン地域内の協力を強化することの二つの柱に基づいている。それを踏まえて、両国は様々な分野において協力を推進している。ジューリッチ外相はそうした協力プロジェクトを歓迎し、両国は「西バルカン協力イニシアティブ」の二つの柱に基づいた協力を続けることで一致した。それにより、日本企業によるセルビアへのさらなる投資につながることを期待している。日本企業が主にEU市場に向けて輸出を行っていることを考えると、日本企業によるセルビアへの投資はセルビアのEU加盟に向けた努力を後押しすることにもつながる。
(4)(問:日本企業によるセルビアへの新規投資実現の見通しは立っているのか 。)
現在のところでは、ノヴィ・サド市ですでに事業を展開しているNidecに供給予定の電動モーター等の部品を製造するJFE商事が、工場を建設中である。 またビンチャでは、伊藤忠商事とフランスの会社の協力による、生活ごみから発電を行うという共同プロジェクトが実現することが期待される。
(5)(問:セルビア要人との会談においては、エネルギー分野に関心が向けられるが、エネルギー分野における日本企業からの新規投資は見込まれているのか。)
廃棄物からベオグラードの家庭で使用されるエネルギーを作る最先端技術を活用する予定のビンチャの事業のほか、ビストリッツァ揚水発電所の建設についてもセルビア鉱業・エネルギー省と協議を開始した。 ビストリッツァ揚水発電所の建設をJICAのファイナンスで行いたいという同省の希望を我々はとても光栄に思う。当該案件は現在、フィージビリティ調査を行っているが、再生可能から安定したエネルギーを供給するようなプロジェクトの重要性を我々は認識しており、ビストリッツァ揚水発電所の建設を通して、風力や太陽エネルギーに関するプロジェクトを実現する可能性は高くなるだろう。
(6)(問:今村大使は普段バスケットボールを見るか。また五輪前最後の強化試合となる男子日本代表対男子セルビア代表の試合をベオグラードアリーナで観戦するか。)
はい。 駐セルビア日本大使としてどちらも応援するつもりだ。セルビアの代表チームには優れた選手がたくさんおり、日本はそのセルビアの代表チームの高い基準に応えられるよう、力を尽くさねばならないと思う。 RTSによるこの試合の放送を楽しみにしている。