今村大使のインタビュー
7月23日、Politika紙に今村大使のインタビューが掲載されました~
イインタビュー動画(セルビア語)リンク:
https://www.politika.rs/sr/clanak/624341/Japan-i-Srbija-insistiraju-na-postovanju-medunarodnog-prava
1 見出し「日本とセルビアは国際法の遵守を訴える:ロシアのプーチン大統領による北朝鮮への訪問がもたらす結果についても懸念している。」(イェレナ・ツェロビナ記者)
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「セルビアを含む西バルカン地域が多くの紛争に見舞われてきたからこそ、この地域の国々がお互いに協力しあうことが極めて重要である。西バルカン諸国間の協力は、この地域の平和や安定、経済発展につながる。セルビア政府要人と会談を行った際、日本の上川外務大臣はこう述べつつ、コソボを含めたその近隣国とセルビアとの関係がこの地域の安定の鍵だと強調した。」と、今村朗大使はPolitika紙に話す。
日本の外務大臣が5年ぶりにベオグラードを訪問したが、その間に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始されるなど、国際情勢が激しく変化するとともに、安全保障が以前にまして重要なグローバル課題となっていると、今村大使は強調する。
上川大臣とセルビア政府要人との会談においては、「西バルカン協力イニシアティブ」の重要性に関心が向けられ、上川大臣は、2018年に故安倍総理大臣がセルビアを訪問した際に発表されたこのイニシアティブの下で、日本がセルビアのEU加盟プロセスと地域内協力を支持し続けていくことを再確認した、と今村大使は述べる。
(1)ベオグラード、サラエボ及びプリシュティナの訪問意義
(今村大使)今回、日本の外務大臣によるコソボ初訪問だったが、コソボに対しても建設的な関与を求めることを目的としていた。ジューリッチ大臣との会談において上川大臣は、日本がEUの仲介するベオグラード・プリシュティナ間の対話を支持しているという立場を改めて強調した。また、双方が既存の合意を着実に履行することの重要性にも言及した。上川大臣は、建設的な解決案を見出すために、プリシュティナ側に対し対話に関与するよう求めた。また、上川大臣は、国際関係において日本とセルビアが法の支配を推進するために協力することの重要性を指摘した。法の支配というのは、何よりも主権と領土の一体性の尊重、および国連憲章を含めた国際法を指す。両者は、特にウクライナにおける戦争との関連で国際法が重要であるとの点で意見が一致した。これは主権国家であるウクライナに対するロシアによる侵攻を念頭に置いたもの。また、ウクライナへの支援を続けることの重要性についても一致した。上川大臣がPolitika紙の寄稿で述べたように、セルビアによるウクライナへの財政支援、およびジューリッチ外相のスイスでの平和サミットへの参加とその共同声明への支持を高く評価している。
2)二国間の投資協定
(今村大使)日本企業によるセルビアへの投資が増加していることを踏まえ、上川大臣とジューリッチ大臣は会談にて、投資協定の交渉開始で一致した。セルビアに対する国別投資額で、日本は初めて10位に入った。この協定によって、日本企業によるセルビアへの投資、およびセルビア企業による日本への投資が保護されるとともに、両国の投資にとり、両国における事業がより信頼性の高いものになるというメッセージとなることが期待できる。現在、セルビアに進出している日本企業は34社ある。
(3) 女性のエンパワーメント
(今村大使)この問題は主にマツラ大臣との会談において取り上げられたが、この分野に上川大臣は非常に力をいれてきた。上川大臣は、外務大臣就任以前はWPSを推進する議員連盟の会長だった。 WPSとは、国連安保理決議を通じて促進される、国防省、内務省などの省庁、または災害および緊急人道支援が必要となるような緊急時への対応への取り組みなどにおける女性の役割を強調する概念に基づいている。
(4)現在日本が直面している重大な課題
(今村大使)北朝鮮による直接的な脅威に直面しているように、日本を取り巻く安全保障環境は益々複雑化し困難となっている。毎月、時には毎週という頻度で、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本の周辺の海域に落下する。これは、複数の国連安保理決議の明白な違反であり、我々は北朝鮮に対し抗議を行ってきた。セルビアが北朝鮮への制裁を支持していることに対し感謝の意を表したい。北朝鮮への制裁は継続するべきである。
日本は、ロシアによるウクライナ侵攻において、ロシアと北朝鮮が協力関係を強化していることを懸念している。昨年12月には、ウクライナに向けてロシア軍が発射したミサイルが北朝鮮製であったことが判明した。今般、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を訪問し、首脳会談を行った結果、両国に攻撃があった場合に相互に支援を行うことで合意した点も懸念している。これを受けて我々は、国連安保理に緊急会合の開催を要請し、そこでロシアと北朝鮮のこのような協力に対して懸念を表明した。
その他、インド太平洋地域における海上安全保障などの懸念事項もあげられる。このため、日本は自由貿易や移動の自由(ママ、実際の発言は「航行の自由」)、紛争の平和的解決といった国際秩序の支配(ママ、実際の発言は「ルールに基づく国際秩序」)を通じてこの地域の平和と安定を推進するため「自由で開かれたインド太平洋」を主張している。