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最 近 の セ ル ビ ア 情 勢

2015年9月
在セルビア日本国大使館



面積:77,474?(日本の約5分の1)
人口:712万人(2011年国勢調査結果)
首都:ベオグラード(人口164万人)(同)
民族:セルビア系,ハンガリー系,アルバニア系等
政体:共和制
GDP:330億6千万ユーロ(2014年)
1人あたりGDP:4,626ユーロ(同)
主要産業:サービス業,製造業,農業
貿易(2014年)
輸出:約111億ユーロ(自動車,電子機器,果実・野菜等)
輸入:約155億ユーロ(自動車,石油類,天然ガス等)

※日本の対「セ」貿易額(2014年)
輸出:27億7,188万円(機械類,自動車,ゴム製品等)
輸入:45億571万円(果実,たばこ,穀物等)
※ 以上は2008年2月17日に独立を宣言したコソボを除い たもの(我が国は同年3月18日にコソボを国家承認)

〈ポイント〉
1 2014年4月,ブチッチ新政権が発足した。
2 2014年1月,EU加盟交渉が正式に開始された。2018年交渉終了が目標。
3 セルビアはコソボ独立を認めないとの立場を堅持しつつも,11年3月にコソボとの直接対話を開始,12年10月 からは首相級対話が開始され,現在は関係正常化のための合意の履行が焦点となっている。
4 2008年の世界金融危機はセルビアの経済・財政に否定的影響を及ぼしている。
5 対日関係は良好。09年10月に外相,11年3月に大統領,11年11月に議会議長が訪日。


ニコリッチ大統領(左)とブチッチ首相(右)

1 内政
2012年5月に行われた大統領選挙では,決選投票の結果,ニコリッチ候補がタディッチ候補を破り,新大統領に就任した。2014年3月には,早期議会選挙が行われ, セルビア進歩党(SNS)を中心とする連合が全250議席中,158議席を獲得して圧勝し,同年4月,ブチッチSNS党首を首相とする新政権が発足した。新政権は, EU加盟を最大の優先課題としつつ,国内では各種改革による経済開発及び財政再建を進めており,主に経済分野に力を注いでいる。


コソボにあるセルビア正教ペーチ総主教座(ユネスコ世界遺産)

2 セルビア・コソボ間関係
(1)アルバニア系住民が人口の9割を占め,1999年以降国連暫定統治下にあったセルビア南部コソボ自治州が2008年2月に独立を宣言。 コソボ政府の発表によると,これまでに西側主要国を含む111か国(2015年5月末時点)が国家承認した。

(2)セルビアは,コソボはセルビアの領土であり,コソボ独立は認めないとの立場を堅持。一方,2011年3月,EU仲介の下, セルビア・コソボ間の技術的問題解決及びコソボ在住セルビア系住民の生活環境の改善を目指して,コソボとの直接対話が開始された。 また,ダチッチ前政権発足後の12年10月からはEUの仲介によるセルビア・コソボの首相級対話が開始され,13年4月, コソボにおけるセルビア系自治体コミュニティ創設等を含む第一次合意が成立し,同年5月にはその履行計画に関する合意に達した。 2014年中には第一次合意に則り,セルビア系自治体コミュニティ(ZSO)の創設が予定されていたが、セルビア・コソボ双方で総選挙が実施され新政権が発足した影響もあり、 交渉は進展しなかった。

(3)コソボ新政府の成立を受け,2015年に入り交渉が再開された。2015年8月、ブチッチ首相とムスタファ・コソボ首相との直接対話の結果、 ZSO創設に関する基本原則など4分野での合意が成立した。


3 外交課題
(1)EU加盟プロセス
コソボ問題と並ぶセルビア外交の優先課題は,欧州統合と地域協力の推進。EU加盟プロセスについては,旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)との完全な協力未達成のため08年後半以降停滞していたが, 2009年12月,セルビア政府の取組みが評価され,EUとの貿易暫定協定凍結解除が決定。これを受けてセルビアはEU加盟申請書を提出した。 また同年12月には,セルビア国民に対するEU(シェンゲン)査証免除も実施された。2012年3月の欧州理事会ではコソボとの関係進展が評価され, セルビアはEU加盟候補国の地位を獲得した。2014年1月,セルビアとEUの第一回政府間会合が行われ,EU加盟交渉が正式に開始された。 セルビア政府は、2015年末までに各個別政策分野(チャプター)毎の交渉を開始することを目標としている。

(2)地域諸国との関係
1990年代の紛争中の戦争責任を巡るクロアチア,ボスニア・ヘルツェゴビナとの微妙な関係など,地域諸国との間では依然として取り組むべき問題が残されている。 他方,最近ではこれら諸国を含め地域諸国との要人往来が活発化し,協力関係が進展している。

(3)その他の諸国との関係
セルビアは,欧州以外の地域との関係の強化も積極的に進めており,米国,ロシア,中国,中東・アジア諸国等を政府要人が訪問し,経済分野を中心に関係強化を図っている。 2014年4月に発足した新政権も基本的にこの方針を継続している。ウクライナ危機に関しては,セルビアは中立的姿勢を保つ方針を掲げ、ロシアへの経済制裁は行わない方針を明らかにしているが、 EUとロシアの間で難しい状況に立たされている。

(4)安全保障政策
安全保障政策については,2006年11月,「NATO平和のためのパートナーシップ(PfP)」に参加,2010年9月にはブリュッセルにNATO代表部を開設した。 一方,2007年12月の議会決議により,セルビアは軍事的中立を宣言しており,NATO加盟の意向は見られない。


4 経済情勢
(1)概況
世界金融危機(2008年)及び欧州債務危機(2009年)の影響は、セルビアにも波及し、セルビア経済はその後も低迷が続いており、慢性的な財政赤字、 公的債務残高の増大、高い失業率(約20%)などの問題を抱えている。ブチッチ政権は,経済分野の3つ主要施策として,?@経済分野の改革,?A民間部門の発展, ?B財政健全化を挙げ、セルビア経済の回復のための基盤整備として、公共財政の安定,公的部門改革及びビジネス環境改革を3本柱とした段階を踏んだ改革に取り組んでいる。
セルビア財務省は、2015年のGDP330億6千万ユーロと予測。これは2014年実績とほぼ同水準となっている。2015年上半期の経済成長率は、 0.9%であり、2014年(−1.8%)と比較して改善している。

(2)財政
2014年のセルビア財政は、歳入が1兆6207億ディナール、歳出が1兆8789億ディナールであり、財政収支は2581億ディナールの赤字とであり、 対GDP比6.7%であった。また、2014年末の公的債務累積高は、227億6千万ユーロであり、同70.9%であった。
セルビアでは国内経済の悪化を背景に,財政赤字や公的債務が増加しており,歳出抑制策が重要な課題となっている。これまでブチッチ政権は、 財政赤字の削減のため公的部門や国営・公営企業に対する補助金のカット、国営・公営企業の整理・民営化のための民営化法の制定、労働法及び破産関連法の改正、 公務員給与及び年金支給額の削減等を順次実施している。

(3)金融
セルビアの2014年の年間インフレ率は1.7%であり、セルビア中央銀行が設定しているインフレ目標値4.0±1.5%を下回った。現在の政策金利は5.0%に設定されている。 現在の失業率は17.9%であり、2014年の年間失業率20.3%より改善されている。外国為替について、現在、セルビア・ディナールの対ユーロ為替レートは、 1ユーロ=120ディナール前後で推移している(2012年以降約5%程度下落している)。

(4)貿易
2014年のセルビアの貿易総額は、約354億米ドルで、その内訳は輸出総額が約148億米ドル,輸入総額が約206億米ドルであった。セルビアの最大の貿易相手はEU諸国であり、 セルビアの輸出の64.6%を、輸入の63.3%をそれぞれ占めている。二国間貿易の貿易相手国としてはイタリア及びドイツが最大であり、セルビアからの全輸出額の29.2%、 セルビアの全輸入額の23%をそれぞれ占めている(2014年)。貿易収支では、貿易赤字を計上する状況が長年続いているものの,中欧自由貿易協定(CEFTA,2007年9月に発効。) 諸国との間の貿易は黒字傾向にある。なお,セルビアは,EU諸国,ロシア及びトルコ等と自由貿易協定を締結しており,米国は一般特恵関税制度(GSP)をセルビアに適用している。

(5)外国投資誘致
セルビア政府は,競争力ある産業育成を目的に,また構造改革に伴う国営・公営企業の整理・民営化のため、外国投資誘致を積極的に推進している。 2012年には、国営自動車会社ザスタバ社をイタリアのフィアット社に売却し、セルビア国内でフィアット車の生産が開始された。これに関連する自動車部品産業等への外国からの投資も増加している。また, 2013年にはア首連・アブダビ首長国が大規模投資を開始し,航空会社「エア・セルビア」が誕生した。更に,中国も融資と併せてインフラ分野(架橋,高速道路, 火力発電所等)でのプロジェクトを実施している。
セルビア政府は,外国投資誘致を促進すべく,国内のビジネス環境を改善するための関連法制の整備を進めている。

(6)経済改革と国際通貨基金(IMF)との取極締結
セルビア政府は、2014年11月、IMFとの間で予防的取極めの締結について合意し、IMF理事会は、2015年2月、セルビアに対する3年間で約12億ユーロの予防的取極めを承認した。 セルビア政府は、IMFとの予防的取極に基づき、?@財政の健全化、?A金融部門の安定性と信頼性の向上及び?B包括的な構造改革を3本柱とする改革プログラムを推進している。


5 2014年5月の洪水被害
(1)洪水被害
2014年5月,セルビア,ボスニア・ヘルツェゴビナを中心にバルカン地域を襲った記録的な大雨により,大規模な洪水被害が発生し,セルビア内務省の発表によれば, 洪水による死者数は33名,また,31,979名が避難を余儀なくされる事態となった。セルビアの概算被害額は15億ユーロに上る。

(2)洪水復興支援
2014年7月,ブリュッセルにおいて,セルビア及びボスニア・ヘルツェゴビナを対象とした洪水被害復興支援ドナー会合が開催され,各国から復興のため支援の表明がなされた。 我が国は,洪水発生直後に1,200万円の緊急支援を実施した他,7月の復興支援ドナー会合において,セルビアに対して500万ユーロの支援を表明した。現在, セルビアでは鋭意復興作業が進められている。

6 難民・移民問題
(1)2015年に入り、中東(特にシリア、アフガニスタン、イラク)から欧州へ向かう多数の難民・移民がマケドニアからセルビアへ流入している。 セルビア政府は、難民の人定情報の収集・登録、人道支援の提供などを行っているが、難民・移民の流入規模の増大に対してセルビア側のキャパシティが不足しており、対応に苦慮している。

(2)2015年夏以降、難民・移民問題はセルビアのみならず、欧州全域で大きな問題となっている。当初、セルビアに入国した難民・移民はハンガリーへ向けて移動していたが、 ハンガリー政府が不法入国阻止を目的にセルビアとの国境にフェンスを設置するなど国境管理を厳格化したことを受け、クロアチアへ向かう難民・移民が急激に増加した。この事態に対して、 クロアチアは一時的にセルビアとの国境を閉鎖するなどしたため、難民・移民問題は二国間問題に発展した。


7 我が国との関係

一般無償「ベオグラード市公共輸送力復旧計画」で供与したバスを利用する市民

(1)関係全般
セルビア国民の対日感情は良好。良好な対日関係を背景に,当館は積極的に広報文化活動を実施している。ただし,2008年3月18日に我が国がコソボ独立を承認した際には, セルビア政府は駐日セルビア大使の召還等,他のコソボ独立承認国に対するものと同様の外交的対抗措置を発動した(同年10月に解除)。

(2)日本からの投資
日本からの主な投資としては,2006年,「日本たばこインターナショナル(JTI)」が進出し(本邦企業初の対セルビア直接投資),2007年に操業を開始した。 JTIは,現在,セルビアのタバコ市場で約15%のシェアを占めるまでに成長している。また2011年,パナソニックがセルビア中部のスビライナッツで操業を開始し, 照明器具部品を製造している。また,2009年から,アサヒビールと三井物産がセルビア北部のセンタにある米国企業アルテック社の工場(イーストを生産) においてイースト由来の調味料生産の委託事業を行っており,2011年より生産が開始されている。

(3)対セルビア経済協力
日本は,セルビアに対しては「経済発展と環境保全の促進支援」を基本方針として支援を実施している。具体的には同国最大規模のニコラ・テスラ火力発電所への排煙脱硫装置設置に関する円借款, 技術協力プロジェクトといった国家レベルでの支援のほか,草の根・無償資金協力案件によりセルビア全土での草の根レベルでの支援も積極的に実施している。また, 2014年2月及び3月に2件のノン・プロジェクト無償案件(約500万ユーロ)に署名した。これまでの同国への支援総額は約4.6億ユーロにのぼる。

  (4)要人往来
2009年5月,西村外務大臣政務官がセルビアを来訪し,イェレミッチ外相,ジェーリッチ副首相兼科学技術開発相らと会談。同年10月にはイェレミッチ外相が訪日し, 2010年11月にはダチッチ副首相兼内相が訪日。2011年には3月にタディッチ大統領の訪日が実現,セルビア大統領の初の訪日となったほか, 11月にジューキッチ・デヤノビッチ議会議長をはじめとするセルビア議会代表団が訪日した。2012年9月には,山根外務副大臣がベオグラードを来訪し, 2013年12月には岸外務副大臣がベオグラードを来訪し,ニコリッチ大統領,ダチッチ首相,ブチッチ第一副首相,ムルキッチ外相らと会談を行った。

(5)友好議連
2009年,セルビア議会内にセルビア・日本友好議員連盟が設立された。セルビアは2014年4月に新議会が発足し,友好議連の新たなメンバーが選ばれた。なお, 我が国の国会では2000年12月に,日・セルビア友好議員連盟(会長:逢沢一郎議員)が設立されている(当時の名称は日・ユーゴスラビア友好議員連盟)。

(6)東日本大震災に関する義援金
2011年3月11日に発生した東日本大震災に際し,セルビア政府は5000万ディナールの義援金拠出による対日支援を発表した。これに加え,セルビアの地方自治体当局, 公営・民間企業,一般市民からセルビア赤十字に集まった義援金は約232万米ドル,当大使館が開設した義援金口座には約48万ユーロが払い込まれた。ベオグラードをはじめ, セルビア各地で各種チャリティー・イベントが数多く開催された。


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(了)


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